1997年11月に自首廃業した、山一証券の倒産劇の裏には、アメリカの様々な圧力が働いていた。
■米国議会調査局のレポート
題して「日本のビッグバン及びその他の金融規制解除」。日本では一般的に規制緩和と呼ぶが、原文ではderegulationであり、日米の認識の違いが感じられる。此の報告書を読む限り、グローバル・スタンダードの美名の下に彼等が日本の富を狙っていたかが分かる。
いかにも客観的な体裁を装っているが「日本のビッグバン及びその他の金融規制解除は、2001年までに日本の金融市場を改革して、より効率的、透明的、国際的、そして公平なものにする事を狙ったものである。それは日本に於ける、より大きな規制解除のプログラムの一環であり、金融機関が持株会社を創立し、これまで禁じられていた業務分野への参入を許すことを含んでいる。それは世界貿易機構(WTO)に基づく金融サービス協定、及び日本の保険市場の自由化について、合衆国との間に交わされた2国間協定に伴うもので、日本や外国の会社が、日本の金融市場で個人資産の約10兆ドル(約1200兆円)の管理を可能にする」とあり彼等の本音が滲み出ている。
■都合の良い国際組織をつくり、圧力組織として利用するアメリカ
国連、NATO、世銀、IMF等と同じ様に、WTOも貿易の秩序を保つ為と云う事で設立されたが、目的は同じである。アメリカが主体となったWTO設立に対して、かってフランスの農業生産者が猛烈に反対した。農業はその国の固有の問題があり、自由貿易にはそぐわないとの立場から抗議したのである。死者が出るほどのデモが繰り広げられたが、アメリカには勝てず、結局、WTOが設立された。そして、その矛先が、日本の金融規制解除に向かってきたのである。
■アメリカの圧力に屈した大蔵省と都銀
アメリカの狙いは日本の個人資産の1200兆円である事は明確である。先の報告書は続けて「これは日本の金融機関を、国際金融市場のプレッシャーの中に晒し出す事である。それは、日本の大蔵省によって履行されてきた金融政策、即ち日本の銀行が護送船団方式によって、運営されるという政策の核心を、放棄させる事である」とレポートしている。日本のマスコミや経済評論家達がこぞって批判したのが、護送船団方式であっが、かってはその金融政策によって日本経済は支えられ、戦後の成長を遂げてきたのも事実である。一国の経済政策についてあれこれよその国から言われる筋合いのものではない、しかし巧みな世論誘導もあつてアメリカが最も望んでいた事が実現した。
■その象徴的な出来事が、山一証券の自首廃業
山一は完全に切り捨てられ、自首廃業の道を選ばざるをえなくなった。では、どのように自首廃業に追い込まれたのか?直接のきっかけは、メインバンクの富士銀行に支援を拒否されたからだったと云われている。山一の支援要請に対して、当初、富士は助けるつもりだったという。ところがある日、突然、態度を豹変させ、支援を拒否された。
■富士のトップ陣への圧力
「山一に手を差し延べたら、あなた方全員の首が飛びます」という、政府首脳のプレッシャーがあり、それにあわてた富士が、緊急記者会見を開き「山一証券には簿外債務があるので支援出来ない」と発表したと言う噂話がある。何とも面妖な話である。山一が自主廃業する10日前の11月14日、当時の野澤正平社長は、大蔵省の長野証券局長を訪ねて、支援要請をした。それへの回答は「山一となると三洋証券とは規模が違う。バックアップしましょう」という心強いものであった。ところが、僅か5日後の19日、局長の口から出た言葉は「自主廃業を選択して下さい」野澤社長は、茫然自失となったと言う。さらにこの頃、山一の株価は急激に下落したのであるが、当時の手口を調べると外資系証券のA社が主体となって、意図的に売り込み、株価を下げる株価操作を行っていたようである。
■寝耳に水の山一経営陣と米国格付け機関の「勝手格付け」
ムーディーズが、2日後の21日、山一の格付けを「Baa3」から3ランク下げ投資不適格にした。これで更に株価は下落し、翌週の資金繰りすらおぼつかなくなった。アメリカの格付け機関は中立で客観的な調査機関とは思われているが、米大手金融機関の完全な勢力下にある事は、周知の事実である。日本の金融機関が外資との連携や連携交渉を始めると、時を合わせてその金融機関のランクを下げ、バーゲンセールにするのは見ての通りである。何も知らない山一の経営陣は本社ビルに泊り込み、連日、役員会を開いて再建築を検討していた。それがどうして自主廃業の道を進む事になったのか?謀略と呼ばざるを得ない事態が、外部から襲ってきたからである。22日の日本経済新聞が、なんと、一面トップで「山一証券自主廃業へ」と報じたからである。当時の山一の財務状況は確かに厳しいものであったが、未だ債務超過には陥ってはおらず極めて不自然な報道であった。
■報告書は続く
「日本のビッグパンは、橋本政権が追求する最も大規模な規制解除計画である。規制と政府行政機関の指導は、合衆国の企業にとって参入障壁となっていた。日本はおよそ10兆ドルを上回る個人貯蓄、及びその他の金融資産
の蓄えを有している。これは合衆国の国内総生産額を上回るが、その約半分は僅か1〜2%の利子しか払われていない貯蓄預金 に投資されている。仮にそれが米国の株式及びその他の資産に投資されれば、日本からの大規模な資本流入が発生し新たな不均衡が生じる可能性がある。この規制解除は、強いドルと日本株の暴落と相まって、米国の企業にとって、日本企業を取得する為のコストを下げる事になる。例えば、1998年にメリルリンチは、倒産した山一証券の大部分の業務を取得した」これを読んで皆さんはどう思われますか
好きだったしお世話にもなった、山一證券はこうして無くなりました。